資産管理の目的は、お金の流れを把握し管理することです。
その基本的な手段は、現金と銀行口座の管理ということになります。
銀行口座の管理を綿密に行おうとするなら、契約する銀行の数は資産規模に見合ったものである必要があります。
口座が多すぎると各口座の把握が甘くなって分かり難くなってしまったり、せっかく残高が残っている口座の存在を忘れてしまって休眠口座になったりということもよく聞きます。
休眠口座になってしまうと、ATMでの取り扱いができなくなり、口座のある支店に出向いて手続きをしないといけなくなります。
しかも、2018年1月に「休眠預金活用法」という法律が施行され、休眠口座を福祉目的の財源として活用することになりました。
つまり、忘れて放置している口座のお金は、国によって活用されるということです。
個人の資産管理としては最悪の結果ですね。
ですから、銀行と契約するなら、ムダな口座を作らずに“最適な組み合わせ”を考えましょう。
銀行を選ぶ場合、ほとんどの人は、利便性を優先すると思います。
しかし、一言で利便性といっても、オンラインの利便性、支店の利便性、ATMの利便性などいろいろあります。。
窓口で手続きを好むなら、支店の利便性を優先するべきですが、インターネットを利用できる環境があるなら、ほとんどの手続きがオンラインで可能になっています。
ATMの利便性も、コンビニATMがほぼ横並びの状況を作っていますから、よく使うコンビニに入っているATMが使えるかどうかを調べるだけで良さそうです。
安心感という点では、メガバンクが知名度などの点で優位にありますが、融資を受ける予定があるなら地方銀行とのコネクションも欲しいところです。
特に、信用金庫は、地域の小規模ビジネスに対する融資を使命としているので、融資を受ける事業を展開するなら、口座を開設して、預金することで信用を蓄積する意味は大きいと思います。
ということを考え合わせると、都市部にお住まいならメガバンク、地方都市にお住まいなら地方銀行か信用金庫をメインに、ネット銀行を組み合わせるくらいでいいかもしれません。
さらに田舎にお住まいなら、ゆうちょ銀行を加えてもいいでしょう。
農業を営んでいるなら、JAバンクという手もありますね。
一つの銀行の預金額が1000万円を超えるようなら、「預金保険」の関係もあるので、銀行を増やしていくという形でいいと思います。
組み合わせとしては、決済口座と貯蓄口座の2つを基本として、貯蓄口座をネット銀行、決済口座をメガバンクというように組み合わせるのがいいのではないでしょうか?
基本的に、3大メガバンクを代表とする都市銀行やゆうちょ銀行は金利が低く(定期預金の平均金利0.025%~0.035%)、ネット銀行は金利が高く(0.25%~0.35%)なります。
この10倍の差は、ネット銀行は店舗にかかる家賃・人件費・光熱費…などの運営コストが無いために金利を高く設定できる点にあります。
ネット銀行を貯蓄口座にするのは、ほとんどの場合ネット銀行の方が金利がいいためです。
また、ネット銀行への預金もメガバンクと同じく「預金保険」の対象となりますから、1000万円以下なら破綻リスクは気にする必要がありません。
手数料に関しては、ATMの無料利用回数などに多少差がありますが、資金移動やATMの引き出しを最小にするなどの工夫でどうにでもなります。
複数の銀行・口座を組み合わせる際には、手数料が最小になるような組み合わせを上手に考えましょう。
目標としては、0円にできる組み合わせを目指します。
公共料金の振り込みなどはクレジットカードが使えるようになってきましたから、振り込みを最小限にすることで、振込手数料無料の恩恵を受けつつ、受取金利を最大化するという方法が採れます。
法人の場合は、当然必要になりますが、個人事業の場合もビジネス口座は必要でしょうか?
ビジネスの内容によるかもしれませんが、当面は個人口座でもいいかもしれません。
ビジネス口座であれば、屋号を使用できますが、きちんと帳簿をつけていれば、必ずしも屋号での支払いをしなければならないというわけでもないでしょう。
取引相手の都合もあるので、状況に応じて選択すればいいと思います。
ただし、ビジネス講座は、振込手数料の無料特典がない、口座維持手数料が必要など、コストがかかるものと考えた方が良いでしょう。
また、一時期、入金元の関係で口座を凍結されて、キャッシュフローが回らなくなったという話題が広がったことがあります。
一つの口座に依存することのないように注意しましょう。
ネット銀行の中には「目的別口座(もくてきべつこうざ)」という機能を持っているところがあります。
目的別口座とは、銀行の一つの名義で “目的ごとに口座を作成して管理ができる” という便利な機能です。
この機能があるのは、私の知る限りでは「住信SBIネット銀行」と「ソニー銀行」です。
目的別口座では、代表口座のほかに最大5つ(合計6つ)の口座を作ることができます。
ソニー銀行では「ほしいもの貯金箱」となっていますが、使い方はほぼ同じです。
ネット銀行を貯蓄口座にするもう一つの理由が、この目的別口座です。
それぞれに目的をきちんと設定することで、貯蓄の管理がしやすくなります。
また、銀行によっては、目的別口座ごとに口座番号を設定して、入金口座に設定できたりもします。
業務ごとに口座を分けておくと、ビジネスの時間を配分したり、力を集中すべき業務の視覚化に便利です。
口座を作成する際には、普通預金や定期預金、外貨預金などの“金利が高くなる”キャンペーンも利用しましょう。
通常ネット銀行の定期預金の金利は高くても0.25%〜0.35%くらいですが、キャンペーン時には1.0%など稀に見る高金利になることもあります。
また、金利の他にも外貨・株などの手数料が激安になるキャンペーンや、口座の新規開設や給与・年金の受け取り口座に設定することで現金がもらえるキャンペーンなどもあります。
チャンスを逃さぬように、銀行のホームページなどをチェックするようにしましょう。